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詩 『 兄さん2 』

       兄さん、元気にしてるかい
       兄さんがちっとも顔を見せないんで
       母さんがぼやいていたよ
       「うちに電話しても留守電ばっかりだし
        手紙を書いても返事も遣しやしない」ってね
       兄さんの好物の卵焼き
       少し焦がしたりなんかしてさ
       直接兄さんには言わないだろうけど
       やっぱり兄さんのことが心配なんだよ
       「シャツの裾が出てるわよ」
       「靴紐きちんと結びなさい」
       そう言って
       いつまでも子ども扱いする母さん
       少しうっとうしく思うかもしれないけどさ
       母さんにとって
       兄さんは
       いつまでもかわいい子どもなんだよ
       誰かが言っていたよ
       男の子の母親は歳を取らないって
       ほんとだね
       兄さんの世話をやいてる母さん
       恋人みたいに見えたときがあるよ
       
       兄さん
       仕事で忙しいのは分かるけどさ
       たまにはうちに顔をだしなよ
       父さんは口には出さないけれど
       父さんも兄さんのこと
       心配してるんだよ
       兄さんが初めて
       ヨットレースで
       優秀賞した時のこと覚えてる?
       兄さんは優勝杯を手に
       仲間と大喜びしてたよね
       そのとき
       父さんが撮った写真
       胴上げされている兄さんの写真は
       今も大事に飾ってあるんだよ
       父さんは
       ふっとやさしい目をしてさ
       その写真を
       見つめているときがあるんだよ
       
       兄さん
       今度の日曜日は父の日だよね
       うちにちょっと帰ってこないかい
       父さんと母さんと兄さんとぼくの
       家族四人で夕食でもどうかな?
       大した料理は出来ないけれど
       ぼくが腕によりをかけて作るよ
       兄さん
       今度の日曜日
       うちに帰っておいでよ
       当分うちに帰ってないから
       敷居が高いなんて言わないでさ
       あの頃のように
       ただいまって大きな声で
       ドアをバーンって開けてさ
       帰っておいでよ
       

父の日に贈るメッセージは?ということですが、
父の日に寄せての兄へのメッセージということでトラックバックさせて頂きます。
by dreaming_star | 2004-06-14 21:12 |
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