カテゴリ:詩( 266 )
詩 『 渇愛と慈悲 』

       ぼくは凡人である
       かたちにこだわる凡人である
       
       互いの気持ちはこうあるべきで
       愛のかたちはこうあるべきで
       こころをかたちに出来なければ
       その愛は偽りなのだと
       信じてやまない凡人である
       
       凡人のぼくは
       しばしば愛を見失う
       もっと、もっとと
       貪欲に不確かな愛を手に入れたくて
       愛を確かめようと躍起になって
       渇愛の声を空に轟かす
       
       渇愛と慈悲
       それは神とぼくとの違い
       神は凡人であるぼくに
       愛のかたちを知らしめる
       
       無償、見返りのない愛情
       報酬を求めない愛のかたちが
       凡人のぼくのこころを変え
       無にする
       合わせる手に
       慈悲のかたちが携わる
       
詩集 渇愛と慈悲
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by dreaming_star | 2004-11-16 23:54 |
詩 『 胸騒ぎ 』

       ぼくは知ってしまった
       知らなくてもいい事実を
       ぼくは完全に
       知っている訳ではないのだけれど
       
       ぼくは知ってしまった
       知らなくてもいい真実を
       ぼくは確実に
       そのとき気付いてしまった
       
       ぼくのこころに
       煩悩の波が打ち寄せる
       胸の前で合わせた両手で
       煩悩の波を遮ろうとするが
       波は容赦なく打ちつけ
       ぼくのこころを揺るがし始める
       
       ザッブーン、ザッブーン
       潮騒ぎが聞こえる、良くない兆候
       ぼくの胸が騒ぎ出す
       煩悩の波、波が
       渦巻きぼくのこころを
       いまにも浚おうとしている
詩集 胸騒ぎ
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by dreaming_star | 2004-11-14 21:07 |
詩 『 夢 』

       ぼくは小学生の頃
       よく夢をみていた
       とってもとっても楽しい夢
       でも、朝目覚めると
       どんな夢をみていたのか
       すっかり忘れてしまっていた
       でも、ぼくには
       夢の中で笑っていたような
       そんな記憶だけは残っていて
       眠る前に見上げた星空が
       とてもきれいだったことは
       よく覚えている
       
       ぼくは最近
       また夢をみるようになった
       なんだかとっても悲しい夢
       でも、朝目覚めたときには
       どんな夢をみていたのか
       思い出せない
       小学生の頃のように
       どんな夢をみていたのか
       思い出せない夢
       夢の中のぼくは
       悲しそうに泣いている
       よく覚えていないのだけれど
       
       子供の頃みた夢
       もう、ぼくは見られないんだろうか
       とってもとっても楽しかった夢
       思い出だけを残した
       ぼくの目の前には
       もう、現れないのだろうか
       
       子供の頃みた夢
       もう、ぼくは見ることが出来ないんだろうか
       とってもとっても楽しかった夢
       思い出に涙してばかりいる
       ぼくの目の前には
       もう、現れることはないのだろうか 
詩集 夢
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by dreaming_star | 2004-11-13 23:00 |
詩 『 気合い 』

       風邪を引いて一週間経つ
       いまだに
       一度出た堰は止まろうとしない
       「やつれたね」
       今日ついに言われてしまった
       「堰をすると体力消耗するみたいで・・・。」
       ぼくは言い訳にならない返事をする
       
       うりゃー!
       気合いの声を張り上げる
       風邪になんか負けてられない
       明日は晴れるらしいから
詩集 気合い
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by dreaming_star | 2004-11-12 22:29 |
詩 『 雨音 』

       今日の疲れを流すように降る雨
       ようやく落ち着いた頃
       その雨音に向かって
       ぽつり つぶやく
       おまえはいつからそこにいるんだい?
       雨音は暗闇の中に
       苦笑いをして消えていった
詩集 雨音   
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by dreaming_star | 2004-11-11 22:55 |
詩 『 相性 』

       分からないことがあると
       ぼくは唸る
       うーんうーんと唸る
       どうしてなのかな?
       なぜなんだろう?
       と
       
       それでぼくは考える
       ない知恵を絞って
       一日中、考えていることもある
       でもすぐには
       ぼくは答えを見つけらない
       
       ぼくは答えを探そうとする
       答えはどこかに隠されているだろうから
       ぼくの気付かないこころのどこかに
       その答えは隠されていると信じているから
       
       その答えは
       ちっぽけなことだったんだね
       ほんの些細なこと
       きみの笑った顔が気に入らないとか
       つい口にしてしまった言葉が気になったりとか
       ぼくのこころをチクッと刺す
       そびら*のようなものなのだと思うよ
       
       ぼくは気付いたんだよ
       そびらは放っておいても取れない
       時間が経つとだんだん
       ぼくのこころを疼かせるんだ
       指の先を伝わり
       こころの中を
       疼かせる始めるんだよ
       
       痛い、痛い
       指が
       こころが
       ぼくのこころをチクチク刺す
       そびらが
       ぼくのこころまでも
       ワァワァ泣かせるんだよ
       
       ごめん、ごめんね
       ぼくときみとは違う
       考えることも違えば
       普段口にする言葉も違う
       ぼくときみとは
       相性が合わないんだ
       きみはぼくにそびらを立てはするが
       ぼくのこころには花は咲かせない
       もし、ぼくが花を手にしたとしても
       きみはその花には
       こころの花を
       咲かせはしないだろう
       
       
*そびら=刺さる棘のようなもの
詩集 相性
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by dreaming_star | 2004-11-10 22:46 |
詩 『 心を配る* 』

       ぼくらは歩いている
       一日、二十四時間という日常の道の上を
       その間、ぼくらはどれくらいの距離を歩き
       心を配って回ることが出来るのだろう
       
       言葉を配って歩くことは容易なことだ
       おはよう、こんにちは、こんばんは
       ぼくらは挨拶さえしていれば
       地球上を一周くるり回れるのだから
       
       だが、心を配るには
       それ相応の時間
       四つの時間が必要となる
       
       一つ目は
       目を配る時間
       相手をよく見、観察する時間
       相手が何を望み、何を要求しているかを
       吟味する時間が必要である
       
       二つ目は
       気を配る時間
       相手が何に喜びを感じ、どんなことに怒り、
       また、悲しみに打ちひしがれるときは
       どんな心境であるかということに
       興味を持ち、一緒に涙するまでに
       気持ちを配る時間が必要である
       
       三つ目は
       思いやる時間
       相手の要求を呑み
       その要求に叶えてようとする
       思いやりの心を持つことにより
       ようやく、ぼくらは
       四つ目の
       心を配ることが出来るのだ
       
       ぼくらはいつも
       時間を気にして歩いている
       歩く間、ぼくらは気付いている
       心は配ることが出来ないということを
       でも、ぼくらは少しでも心を配りたくて
       心の底から取り出した出来そこないの言葉を
       ひとつ、ふたつ 言葉にしてみたりするのだろう
       
       ぼくらは心は配れなく
       でも、心に付随する何かを配りたい
       そう思う心が
       ふっとついたため息のように
       言葉となって
       限られた時間の中を歩かせているのだろう

*ちょこっと推敲。(11/10)
詩集 心を配る
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by dreaming_star | 2004-11-09 23:25 |
詩 『 立冬 』

       朝靄に吐く息の白さ
       追い立てる木枯らし
       日毎身を細らせる日脚
       北国から初冠雪の便り
       冬の気配が忍び寄る



   ※11月7日は立冬でした。
     二十四節気の一つで、陰暦の十月後半です。
     太陽の黄経が225度に達したとき、冬に入る初めの節で
     旧暦十月亥(い)の月の正節とも言われています。
詩集 立冬
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by dreaming_star | 2004-11-08 22:35 |
詩 『 林檎のオルゴール 』

       林檎がひとつ
       テーブルの上に置かれている
       白いネットに包まれた林檎は
       ひし形の網目越しにも
       よく熟れているのが分かる
       
       その林檎は
       沈む夕日が燃え尽きる前に
       一瞬見せる色にも似ていて
       赤黒の色をして
       艶やかな光沢を放ちつつ
       さりげなくそこに
       置かれてあった
       
       いつかぼくは
       きみに言ったことがある
       『 無性に林檎が食べたいときがある 』
       そう言ったぼくの言葉をきみは覚えていて
       ぼくのためにきみが
       林檎を買ってきてくれたんだと
       うれしさを表現することが下手なぼくは
       無表情のまま
       果物ナイフと簡易のまな板を取り出し
       ネットに包まれたまま
       熟した林檎を手にする
       
       うん?
       手にした林檎の意外な軽さに違和感を感じ
       ぼくは側にいるきみの顔を見る
       きみはいまにも吹き出しそうな顔をしている
       ぼくは林檎の枝の部分にあるつまみをくるくると回す
       大きな古時計のオルゴールが
       メロディを奏で始めた
       
       オルゴールの音が流れると同時に
       きみは大声で笑い始める
       ぼくは林檎にかぶりつき
       オルゴールの音を止める
       目と目が合う
       そのとき
       すべてのときが止まった
詩集 林檎のオルゴール
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by dreaming_star | 2004-11-07 22:52 |
詩 『 ぼくがきみにしてやれること 』
詩集 ぼくがきみにしてやれること 写真 のらねこ『 モコちゃん 』
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       成長するに連れ
       大人びた表情を見せるきみ
       ぼくを見つめる真っ直ぐな瞳に
       身も蕩けるような視線を返すのが
       いまのぼくには精一杯
       
       きみの背を撫で
       ほつれた毛をほぐすぼくの指
       指に絡まるように身を委ねるきみに
       愛おしさを愛撫で示すのが
       いまのぼくには精一杯
       
       そんなぼくをきみは
       誰かに貰ったお魚を口に咥え
       ニャオーンと言いながら
       追いかけてきてくれる
       
       そんなきみをぼくは
       お魚の変わりに愛情で
       こころを満たして上げることしか
       いまのぼくには出来ない
       
       きみはいま
       家族の愛情に育まれ
       見よう見まねで
       野生というものを学んでいる
       
       きみがいま
       一番望むことを考えると
       ぼくがきみにしてやれるのは
       きみの成長を見守っていること
       それが
       ぼくがきみにしてやれる
       一番のことなんだと思うのさ
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by dreaming_star | 2004-11-06 23:48 |