カテゴリ:詩( 266 )
詩 『 腕組みをする女 』

       窓辺に
       女がひとり
       腕組みをして座っている
       
       その女は
       窓辺に差す夕日にも目をくれず
       重くのしかかる瞼を半開きにし
       床の一点を見据えたまま
       窓辺の椅子に座っている
       
       白いシルクのドレス
       赤く染まる女の長髪
       風がいたずらに女の頬をくすぐるが
       女は床に視線を落としたまま
       微動もせずに
       そこに座ったままでいる
       
       ぼくは
       静物画のように観ている
       腕を組み
       物思いに沈む女を
       
       女の両腕が力なく
       ダラリと下がるその時に
       その両腕を支えるために       
詩集 腕組みをする女
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by dreaming_star | 2004-11-29 23:00 |
詩 『 かもめ 』
a0001563_22205287.jpg       「かもめは鳥よ、鳥なのよ!」
       きみは頬を膨らませ
       ぼくと合った視線を逸らすと
       そのまま、
       海面に映るかもめを見つめている
       
       「かもめは鳥の姿をしているね」
       ぼくはきみに反論したくないから
       それから先のことは言わず
       きみの瞳に映るままに
       かもめを海に泳がせる
       
       かもめには翼がある
       その翼で大空に飛んで行けるのに
       かもめは空を飛んで行かない
       それがどうしてだかきみに分かるかい?
       そう言いたいのをぐっと抑えて
       
       かもめは恋しているのさ
       海に
       だから、
       かもめは
       海から離れようとしない
       
       満潮のときは遠瀬で
       干潮のときは浅瀬で
       クワーッと鳴く
       かもめの声を聞いたら
       海に求愛しているときなんだ
       
       海に恋したかもめは
       本当は海になりたい
       でも、かもめは海になれない
       だから、鳥の姿を海面に映し
       その姿が消えないように
       海から離れることが出来ないでいる
       
       海に恋するかもめは
       持った翼を羽ばたかせ
       海面を行き来し飛んでみせて
       海への愛情を示すことしか出来ないから
       鳥の姿をしているんだよ
       
       かもめは
       鳥の姿をしているように見える
       だけど
       かもめは
       本当は
       海になりたいと思っているのさ
       
       海になりたいかもめは鳥ではない
       こころが海ならば
       かもめは海
       鳥の姿をしている海だと
       ぼくは思う
       
       ~海に恋したかもめ~
詩集 かもめ
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by dreaming_star | 2004-11-27 22:21 |
詩 『 希望の鳥 』

       こころよ
       ぼくのこころよ
       ぼくとお前を隔てるこの扉を開け
       この真っ青な大空に飛んでゆけ
       
       こころよ
       ぼくのこころよ
       ぼくとお前を防塞するこの楔を解き放ち
       この自由な大空に羽ばたいてゆけ
       
       時を奪われた日から
       お前は苦しみや災難に脅かされている
       傷心を抱き、闇に心を埋もらせながらも
       歌いたいという気持ちだけは持ち続けている
       
       歌でなくてもいい
       歌わなくてもいい
       ぼくのこころに響かせるその声が
       ぼくのこころを飛び立つ希望の鳥になるのさ
詩集 希望の鳥
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by dreaming_star | 2004-11-26 22:07 |
詩 『 どうして? 』
       
       母さん
       聞いてもいい?
       ぼくはどうして
       生まれてきたの?
       
            それはね
            母さんと父さんが愛し合って
            あなたが生まれたのよ
       
       ううん
       母さん、よく聞いて
       ぼくはね
       そんなことを聞いているんじゃなくて
       ぼくがこの世に生まれてきた理由
       ぼくはどうしてこの世に生まれ
       ぼくは何をするために
       この世に生まれてきたかってことを
       聞いているんだよ
       
       母さん
       母さんはいつか
       ぼくに言ったね
            
            はっきりものを言いなさい
            あなたが何も言わないから
            母さんには
            あなたの気持ちが分からない
            あなたが何を考え
            どう思っているのか
            母さんには
            全然分からないのよ
       
       そう言ったね
       ぼくはね
       何も考えていない訳じゃない
       いつも考えている
       ぼくはどうしてこの世に生まれ
       何をするために
       生まれてきたんだろうってね
       
       ぼくの自我が芽生えた時
       小学生の高学年の頃だったと思う
       そんなことを思い始めたのは
       母さんは知らないだろう?
       その頃
       ぼくももやもやっとした
       考えしか持っていなかったから
       母さんには話さなかったし
       誰にもそのことを告げなかった
       
       そのぼくも
       今は社会人となり
       世の常、人の情、
       それなりに見てきたつもり
       でも
       それでもね
       ぼくには分からない
       いまになっても分からないんだよ
       ぼくが
       生まれてきた理由
       ぼくは何をするために
       どうして
       この世に生まれてきたのか
       その理由を
       見つけることが出来ないのさ
       
            そんなこと
            よく考えてみれば分かるじゃない
       
       母さんはきっと
       そう言うだろう?
       だからね
       ぼくは考えているんだ
       いつも、いつも
       
       夕暮れになると
       どうしておばあちゃんは
       般若心経を唱えていたんだろうとか
       人間の幸せのかたちって
       なんだろうなってね
       いつも、いつも
       そんなことを
       ぼくは考えているんだよ
       
       でも
       でもね
       ぼくは上手く言葉に出来ないんだ
       だから
       母さんに教えて欲しいのさ
       
       ぼくはどうしてこの世に生まれ
       ぼくは何をするために
       生まれてきたかってことを
       母さんに
       教えて貰いたいんだよ
       
       ねぇ、母さん
       ぼくはどうして
       生まれてきたの?
詩集 どうして?
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by dreaming_star | 2004-11-23 20:18 |
詩 『 興味 』
       興味を持つっていうのは
       面白いもので
       人間生きていれば
       何かしら
       興味を引く出来事に出合う
       
       ふと立ち寄った画廊の絵画
       電車の中で聞く誰かの戯言
       換気扇から漂う今晩のメニュー
       落ち葉を拾い集め気付く秋の深まり
       
       ぼくらは
       そんなことを考えながら
       毎日
       何気ない動作を繰り返している
       
       ぼくらは
       そうやって
       何気ない動作を繰り返しながらも
       五感を研ぎ澄ませ
       インスピレーションを働かせている
       
       興味≠インスピレーション
       そんなことは分かっている
       だが、ぼくらは興味を持っている
       ∞に
詩集 興味
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by dreaming_star | 2004-11-22 21:57 |
詩 『 ピピッとくる言葉 』

       阿彌陀さまには、「南無阿彌陀仏」
       聖観音さまには、「オンアロリキャソワカ」
       お地蔵さまには、「オンカカカビサマエイソワカ」
       いまのぼくには、「コンペイトウ」かなぁ
詩集 ピピッとくる言葉
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by dreaming_star | 2004-11-22 07:27 |
詩 『 金平糖 』

       「誕生日には何が欲しい?」
       そうきみが聞くから
       ぼくは「金平糖」と答える
       きみは小首を傾げ
       えっ?
       あなた甘党だったかしら?
       そんな顔をして
       ぼくを見ている

       ぼくの誕生祝に
       プレゼントしてくれようとするきみ
       その気持ちが嬉しくて
       ぼくはきみの手を取り
       手のひらにひとつぶ
       金平糖を乗せる
       
       きみの知っている通り
       ぼくは甘党じゃない
       本当の金平糖が
       欲しい訳じゃない
       
       ぼくの誕生日に
       なにか
       プレゼントをしてくれようとする
       きみのその気持ち
       とてもうれしい

       でもね、
       ぼくはなにも要らないんだ
       
       そう言うと、
       きみは困った顔をするだろう
       
       だから、
       ぼくは「金平糖」と答える
       
       きみから貰ったひとつぶの金平糖は
       ぼくをあまーくとろかせる
       甘くておいしい金平糖
       きみのおめでとうという言葉が
       ぼくには
       なによりものプレゼントだから       
       
       
  ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

       ぼくは
       十粒の金平糖を
       用意して待っている
       きみに
       ありがとうと言うために

詩集 金平糖
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by dreaming_star | 2004-11-21 23:30 |
詩 『 さようなら 』

       きみは行ってしまった
       遠くへ行ってしまった
       さようならの一言もなく
       ぼくを置き去りにして
       きみは遠くへ行ってしまった
       
       きみは戻って来ない
       もうここへは戻って来ない
       さようならの一言が言いたくて
       どこにも居ないはずのきみを
       きみの名を呼びながら探して回る
       
       きみにああしてやれば良かった
       こう声をかけてやれば良かった
       きみと最後に会ったあの日には
       夜の帳が降りるまで
       いっしょにいてやれば良かったと
       悔やんでも悔やみきれない思いを抱え
       ぼくはきみが歩いて来た道を
       きみの影を求めて探し歩く
       
       そんなぼくを見かねてか
       親切に教えてくれる人が言う
         「ここ数日、あの子を見かけなくなりました
          誰か猫好きな方に貰われていったんじゃないかしらね。」
       ぼくは息絶え絶えに答える
         「やはりそうでしたか。
          どこを探しても居ないので、そうだとは思っていたのですが。」
       
       重い沈黙の時が流れ
       もう交わす言葉がないと知るぼくは
       頭を下げてその場を立ち去る
       
       さようなら
       
       ぼくが
       空に向ってそうつぶやくと
       風が吹き
       くるりくるりと
       名残惜しそうに
       落葉は舞う
詩集 さようなら
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by dreaming_star | 2004-11-20 21:46 |
詩 『 謝罪する海 』
       ごめんなさい
       ごめんなさい
       
       砂辺を歩くぼくに
       海は潮風に声を乗せ
       波風吹かせながら
       頭を下げて謝っている
       
       なぜ? どうして?
       なんで謝るの?
       
       浜辺を歩きながら
       ぼくはとんと見当もつかない
       海の声に問いかける
       
       きみはぼくに
       何も悪いことはしていない
       きみはぼくに
       何も謝ることはない
       なのに
       謝るのはどうしてなんだい?
       
       荒たげる海面は
       なだらかな平面となり
       小さな声でささやく
       さざなみとなり
       海は小声で話し始めた
       
       私がまだ若かった頃
       この世は全て
       支配出来ると思っていました
       私が少し勢力を奮えば
       どんなものでも
       手に入れることが出来ると思っていました
              
       ちょうどその頃です
       私があなたと出会ったのは   
       当時、あなたは子供でした
       小学生なるかならないか
       その位の年齢だったと思います
       あなたは一生懸命砂を掬い
       砂の城を築いていました
       そんな光景を見て
       私は
       あなたの作るお城を飲み込んでしまいたい
       そんな衝動にかられてしました

       自意識過剰だったのです
       今思えば
       愚行この上ない行為だったと思います
       あの頃の私は何だって出来る
       私は神にでもなった気持ちでいたのかも知れません
       あなたが砂辺で作るお城を
       ザッブン、ザブーン
       丹精込めて作ったお城を
       一瞬のうちに飲み込んで壊してしまいました
       それでもあなたは
       またお城を作り始めました
       ザッブン、ザブーン
       あなたがお城を築く度
       その度に私はあなたのお城を壊します
       それでもまた
       あなたはお城を作り始めます
       
       そのとき
       私は気付いたのです
       私が幾ら砂の城を壊したって
       あなたは何度も砂の城を築くだろうと
       あなたは
       こころの中に夢のお城を築いていて
       それを現実にしようと
       砂のお城を築いているんだと
       私は気付いたのです
       
       私はあなたに教えられました
       そのあなたに一言の謝罪もなく
       私はあなたの前から消えていなくなりました
       そのときのことを私は謝りたいのです
       夜毎さざなみを立てているのは
       あなたを待ち
       そのときのことを誤りたいからなのです
詩集 謝罪する海
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by dreaming_star | 2004-11-19 23:14 |
詩 『 誕生日プレゼント 』

       奇遇と言うか
       なんと言うかさ
       きみとぼくは
       同じ日に生まれた
       
       きみとぼくは
       同じ日に産声を上げ
       子供の頃からずっと
       おんなじ日に
       みんなから祝福されきた
       
       ぼくらは
       歳の数だけ立てられた
       誕生日ケーキのろうそくの火を
       願い事しながら
       同じ日に
       ふーっと吹き消して来たんだ
       
       そんな日々をきみと
       ぼくは幾度も重ね来たと思うと
       ぼくはきみのことが
       他人のように思えなくなったのさ
       
       同じ日に
       誕生日と言う日を
       きみが迎えていたと思うと
       ぼくは
       きみのことが
       愛おしくて堪らなくなってくるのさ
       
       だからね
       ぼくは
       きみにプレゼントを用意した
       誕生日には少し早いけれど
       きみへの誕生日プレゼント
       
       明日ぼくは
       きみに誕生日プレゼントを渡すつもりだ
       ぼくは
       いまからほくそ笑んでいる
       きみの驚いた顔を思い浮かべ
       明日という日を
       楽しみに待っている
       詩集 誕生日プレゼント
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by dreaming_star | 2004-11-18 21:35 |