カテゴリ:詩の目次1-100( 83 )
詩 『 清流 』
a0001563_0742.jpg       森の奧
       まだ誰も
       足を踏み入れたことのない
       奧の奧
       
       覆う樹海
       まだ誰も
       合間見たこともない
       その樹木の先
       
       静寂の真中
       連ねられた水旋
       紡ぐ絹糸のように
       
       寒涼の真中
       灼熱に照らす水流
       砂丘の砂のように
       
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by dreaming_star | 2004-03-15 00:08 | 詩の目次1-100
詩 『 ハクモクレン 』
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       あなたはいつも
       見つめていましたね
       
       葉もない枯れ木の
       日毎成長する姿を
       愛しそうに
       親御のように
       見守っていましたね
       
       あなたはいつも
       見上げていましたね
       
       手放した風船が
       空の彼方に
       消えていくのを
       泣き出しそうな
       子供のように
       見上げていましたね
       
       あなたが見つめていた木に
       花が付きましたね
       
       幾重にも広がった枝には
       羽を休めにやって来た
       鳩の群れのように
       大きな大きな白い花が
       咲きましたね
       
       あなたが見上げていた木に
       今日花が咲きました
       
       見上げた白い花は
       青空を背景に
       白い色をいっそう引き立たせ
       いまにも大空に飛び立とうと
       羽を広げる白い鳩のように
       大きな花を咲かせていますね
       
       春風がそっと流れ
       空を舞い降りる白い花びら
       大切なものを受け止めるように
       あなたは両手でそっと包み込む
       
       春風にそっと吹かれ
       あなたが手にした白い花びら
       ふわりとあなたの手から浮び上がり
       白い鳩に化身して青空へ飛び立ってゆく
       
       あなたが見上げていた
       葉もない枯れ木に
       ハクモクレンの花が
       咲いています
       
       青空の下
       春風に吹かれて
       あなたの花が
       飛んでいます
       
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by dreaming_star | 2004-03-14 21:18 | 詩の目次1-100
詩 『 さくら缶 』
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       僕が働いている缶詰工場では
       蟹缶とか鮪缶とか作っているんだけれど
       この蟹や鮪の水揚げ量がめっきり減ってね
       営業利益がさっぱりで
       株主総会も大荒れだったとか
       最近では
       人事がリストラなんか始めてるって
       うわさまで出始めているんだ
       
       だからね
       僕は人事異動を希望したのさ
       それは企画課
       僕には不釣合いな所だけれど
       そこしか空きがなかったから
       希望したんだけれど
       それがまぐれで通ってね
       企画課に配属になっちゃったんだよ
       
       配属になった日
       僕はおろおろしてどうすりゃいいか分からなかったから
       とりあえず企画書でも書くことにしたのさ
       
       企画案
       
        「春限定さくら缶」
        鼻の奧 擽る香りは さくら缶
        甘くてすっぱい春をあなたに
        
        こんなキャッチコピー付けてさ
        やっと企画書作ってね
        課長に提出したらさ
        企画検討会にまでかけられちゃってね
        まぐれでこの企画通っちゃったんだよ
        
        このさくら缶
        中には空気しか入ってないが
        開けた途端
        さくらの香りが溢れ出てくる
        日本各地の桜の名所の香りを集めてね
        ご当地版も作ってみたよ
        
        もうそろそろ試験缶が出来る頃じゃないかな
        市場に出回るのはまだ先だけれど
        もし君の近くのスーパーに
        さくら缶を見つけたら
        試しに買ってみてね
        振っても音はしないけれど
        花見に行かなくても
        酔っ払っちゃうほど
        さくらの香りがするよ
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by dreaming_star | 2004-03-13 23:26 | 詩の目次1-100
詩 『 ぶさいく 』
こびとかば

       そりゃ君は
       かわいい部類には入らないかも知れない
       でもね
       それは一般的な見てくれであって
       君は全然 ぶさいく じゃないよ
       
       君はいつも言ってるね
         「私、ぶさいくだから。」
       誰が君をぶさいくって言ったの
       いつ君はぶさいくって言われたの
       そいつに今度会わせてくれよ
       そんなやつはいないと思うけどね
       
       昨日のこびとかばを思い出してごらん
       ずんぐりむっくりのかばなのに
       どこか愛らしかっただろう
       君もつぶらな瞳がかわいいって言ってたじゃないか
       
       本当は分かっているんじゃないのかな
       こびとかばが愛らしいように
       君にも君らしい愛らしさがあることを
       でも君は
       ぶさいくだからって言う理由をつけて
       自分からみんなを遠ざけているんだよ
       
       ねぇ、ぶさいくって言ってみて
         「 ぶさいく・・・ 」
       そう、そのくち
       ぶさいくの ぶ のくちの形
       そのくちの形が君をぶさいくにしてるんだよ
       ぶ って君が言うからぶさいくになるんだよ
       
       いいかい
       今日からぶさいくを禁止用語にするよ
       ルールは至って簡単
       ぶさいくって言う毎に
       君は罰ゲームを受けることになる
       さぁ、ゲームを始めるよ、注意してね
       
       あっ、罰ゲームはね
       「私は世界中の誰よりもきれい。」って
       街の大通りで大声で言って貰います
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by dreaming_star | 2004-03-13 21:19 | 詩の目次1-100
詩 『 和み 』


いつか見た風景
どこかで聞いた音
ただそれだけで
ずっとそこにいられる


Danish Soundscapes
*音量にご注意下さい。小さすぎても聞こえません。
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by dreaming_star | 2004-03-13 05:23 | 詩の目次1-100
詩 『 楠 』

       もし君が
       突然の雨に足止めされているのなら
       僕の下で休んでいきませんか?
       
       僕が大きな木の下で雨宿りしたように
       君の傘になりたいから
       
       もし君が
       眠れない夜を見つめているのなら
       僕の所に来てみませんか?
       
       子供の頃母さんが歌ってくれた歌を
       君にも聞いて欲しいから
       
       もし君が
       誰かの言葉に傷ついているのなら
       空の絵を一緒に描きませんか?
       
       星の絵を夜空いっぱいに
       君にも描いて欲しいから
       
       もし君が
       哀しくて泣いているのなら
       その涙を僕にくれませんか?
       
       僕の心が君の涙を吸収し
       その瞳で微笑んで欲しいから
       
       僕は楠
       赤いアーチのある公園にいます
       君が僕の所に来てくれるのを
       いつも楽しみにしていますよ
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by dreaming_star | 2004-03-12 23:59 | 詩の目次1-100
詩 『 素直 』

ベンチに座っていると
どこからともなくやって来て
後ろを振り向くと
いつの間にか後ろにいる
「おいで」と言うと
「ダメよ」と言い
側に行くと
そっぽを向く
そんなだから嫌われるんだよ
嫌われたっていいのよ
たまには素直になれよ
いつだって素直よとしたり顔
縺れた毛を優しく梳きほぐすと
気持ちよさそうに目を細め
愛撫でごわごわの毛が艶やかになると
グルグルと喉を鳴らす
「気持ちいいかい」と聞くと
また明後日の方向を向き
少し怒った顔をすると
上目使いで見る
冗談だよと笑うと
大きく瞬きをして
そんな君が好きだよ 
君は愛らしくしっぽを振る

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by dreaming_star | 2004-03-11 22:06 | 詩の目次1-100
詩 『 鳴かなくなった鳥 』
啼く鳥

       毎朝 ベランダでさえずってくれた鳥
       美しい声で朝の訪れを告げてくれた鳥
       その鳥の声をいつも聞いていたくて
       その鳥の歌をいつも聞いていたくて
       僕は鳥を捕まえ小さな鳥かごに入れた
       
       毎日 さえずってくれるはずなのに
       美しい声で歌ってくれるはずなのに
       その鳥は鳥かごの中でじっとして
       その鳥は口をつぐんだまま
       歌もさえずりも忘れた鳥になった
       
       ごめんよ ごめんよ
       僕がきみを捕まえてしまったから
       僕が鳥かごに入れてしまったから
       きみはさえずることを忘れてしまった
       きみは歌うことさえも忘れてしまった
       
       さぁおかえり 森へおかえり
       小さな鳥かごから抜け出して
       大好きな家族のもとへおかえり
       大空を飛んで自由に飛んで
       その美しい歌声を森中に響かせておくれ
       
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by dreaming_star | 2004-03-11 21:01 | 詩の目次1-100
詩 『 小石 』

   
       川原に小石が転がっていました
       川原に小石があるのは当たり前ですが
       なぜだかその小石が気にかかり
       前を通り過ぎることが出来ませんでした
       
       それは
       その小石があなたによく似ていたから
       あなたがそこにいるのかと思ったくらい
       あなたにとてもよく似ていたのです
       
       小石は楕円形で全体的にアメジスト色
       重ねた白い層の石層からも高貴な感じがし
       レースの模様をあしらったところなども
       本当にあなたにそっくりなのです
       
       以前にもあなたに似た石を見つけたのですが
       あなたに見せることは出来ませんでした
       石に似ているなどと言われ
       あなたの気分を損ねるんじゃないかと思ったからです
       
       今度はあなたに見て欲しいのです
       あなたにそっくりのこの小石を是非見て欲しいのです
       この小石は磨けばアメジスト色を輝かせるかも知れません
       この小石は磨けば何かを語りかけてくれるかも知れません
       
       今度はあなたに受け取って欲しいのです
       きっとあなたも気に入ってくれるでしょう
       この小石はあなたに似て気まぐれに輝く気がするのです
       この小石が輝いたとき僕の想いを伝える気がするのです
       
       
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by dreaming_star | 2004-03-10 20:31 | 詩の目次1-100
詩 『 夕暮れ時 』

       エプロン姿の母さんが
       つっかけ引っ掛け駆けてゆく
       バタバタ走る母さんの
       後ろ姿が滑稽で
       僕は笑って言ったのさ
        「母さん、そんなに急いでどこ行くの?」
       振り向き様に母さんは
       およよとよろめきつっかけを
       空高く蹴飛ばして天気予想
       
       エプロン姿の母さんが
       自転車にも乗らず駆けてゆく
       自転車に乗ると母さんの
       つっかけ天気予想は見れないからね
        「母さん、明日は晴れるかな?」
       振り向き様に母さんは
       ピューンとつっかけ蹴飛ばして
       ケンケンしながら晴れでしょう
       
       夕暮れ時のこの時間
       エプロン姿の母さんは
       つっかけ天気予想士になり
       ときどきケンパしながら
       スーパーに駆けてゆく
       
       
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by dreaming_star | 2004-03-08 20:57 | 詩の目次1-100