カテゴリ:詩の目次1-100( 83 )
詩 『 上り階段 』
お題 「 石段 」

       ズンパパ ズンズン ズンパッパ
       ズンパパ ズンパン ズンパッパ
       
       蟻さんが石段を上る
       背丈の百倍ありそうな
       気が遠くなる石段を
       えっちらおっちらと上る
       
       よいこらしょ どっこいしょ
       なんて言わないで
       ズンパパ ズンズン
       時々横っ飛びしながら
       楽しそうに上るのさ
       
       蟻さんが石段を上る
       短い足の関節を
       器用に屈伸させながら
       えっちらおっちらと上る
       
       上るときは大股 平面は小股で
       それも変なリズムに合わせて
       ズンパパ ズンズン
       時々ひっくり返りながら
       さも楽しそうに石段を上るのさ
       
       ズンパパ ズンズン ズンパッパ
       ズンパパ ズンパン ズンパッパ
       僕も一緒に上ってみる
       ズンパパ ズンパン ズンパッパ
      
       
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by dreaming_star | 2004-03-23 20:50 | 詩の目次1-100
詩 『 靴下 』

       昨日はごめん
       君のことほったらかしにして
       別に君のこと
       忘れていたわけじゃないんだ
       いつも君のことを思っているけど
       昨日はちょっとだけ
       気分を変えて見たかったんだよ
       そんなこと君にもあるだろう
       もう君に寂しい思いなんてさせない
       だからさっ
       機嫌直して出て来てくれよ
       
       昨日はごめん
       ずっと僕を待っててくれたんだってね
       君の友だちが教えてくれたよ
       別に君のこと
       嫌いになったわけじゃないんだ
       いつも君と一緒にいたいけれど
       少しは君もお天道様の下で
       日向ぼっこしたくなるだろう
       今度から君と一緒に日向ぼっこするよ
       だからさっ
       早く顔を見せてくれよ
       
       あぁ、やっと出て来てくれた
       このまま出て来てくれなかったら
       家捜しする所だったよ
       おや、相棒はどうしたんだよ
       君そっくりの相棒は
       また寝坊してるのかな
       君のテレパシーで
       早く起こして連れてきてくれよ
       このままじゃ遅刻しちゃうー
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by dreaming_star | 2004-03-22 20:18 | 詩の目次1-100
詩 『 小高い丘の上 』
いつか住みたい理想の住まいは?


小高い丘の上
あるのは
一軒家
他には何も
なーんにも
ない

家もなければ
街路もなく
車も
騒音も
人影も
どこにも
なんにも
ない

小高い丘の上
あるのは
一軒家
他には何も
なーんにも
ない

何もない中に
あるものはあり
都会の日常に
慣れきった者には
なんにも
ない
ように
見えるだけ

小高い丘の上
あるのは
一軒家
眼を向けると
たくさんのものが
見えてくる

広大な丘に
広がる青い空
雲は見る間に形を変え
羽ばたかずとも舞う鳥
夕暮れが
陰影をつけ始め
静寂の中に
回想の世界を創り出す

小高い丘の上
あるのは
一軒家
ここには
心休める場所が
ある

朝には
透明な光が射し
この小高い丘の上
夜空を見上ると
降るような
満天の
星空に
出合える

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by dreaming_star | 2004-03-21 23:26 | 詩の目次1-100
詩 『 沈丁花の径 』

       君と通ったあの道は 僕らだけの通り道
       肩を寄せやっと通れるくらい あの道は細い道
       
       あの道を知っているのは 君と僕と風 他は誰も知らない
       あの道を通れるのは 君と僕と風 他は誰も通らない
       
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       あの青い空も あの白い雲さえも あの道を知らない
       あのおてんとさんも あの雨神さんも あの道は通らない
       
       君と通ったあの道は 僕らだけの道
       君と僕と風だけが知ってる 匂い立つ花の通り道
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by dreaming_star | 2004-03-21 21:39 | 詩の目次1-100
詩 『 コーヒーメーカー 』


       僕はただのコーヒーメーカーなんです
       あなたが買ってきたコーヒー豆を挽き
       あなたがセットしたようにドリップし
       あなた好みに作っているだけなんです
       
       僕はただのコーヒーメーカーなんです
       市販のものほど器用ではありませんが
       あなたがおいしいと言ってくれるのが
       うれしいからあなた好みに作るのです
       
       時に僕は調子が悪いことがありますね
       コーヒー豆を丹念に丹念に挽き過ぎて
       フィルターを通り抜けてしまいました
       僕の不注意であなたの大事なコーヒーを
       ダメにしてしまってすみませんでした
       あの時は少し考え事をしていたのです
       あなたのことを少し考えていたのです
       あなたの好きな香りは何の香りだろう
       やはりコーヒーの香りなのかななどと
       あなたが毎朝コーヒーを飲む姿を思い
       コーヒー豆をクルクル挽いていたのです
       しょっちゅう考えている訳ではありません
       時々考える程度ですのでご安心下さい
       
       僕はただのコーヒーメーカーなんです
       おいしいコーヒーをあなたに飲んで欲しいから
       いろいろ試して今日はあなたの好みに
       ちょっぴり隠し味を加えてみました
       
       あなたのコーヒーが入りましたよ
       さあどうぞ 召し上がれ
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by dreaming_star | 2004-03-20 22:28 | 詩の目次1-100
詩 『 夜の海 』


     今宵の海は風もなく波もなく
     ひっそりと佇む平野のようで
     満天の星空に微笑み返す月明かりだけが
     ここが海だと教えてくれる
     
     波止場に眠る船の寝息が
     昼間のエネルギッシュな陽の光を
     ビロードに包まれた漆黒の渦の中
     手繰り寄せるように連れ去って行く
     
     夜の風が微かに流れ
     月光を朧に揺らし
     漂い出すは空虚さ
     
     明日を迎えに
     月光が海中に眠る頃
     人恋しくなる夜の海

     


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by dreaming_star | 2004-03-19 22:55 | 詩の目次1-100
詩 『 春海 』
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     吹く風は春の風
     寄せる小波
     その上を
     ゆるりゆるり大名行列
     
     過ぐ小船の残す道
     追いかけ朝日
     微笑み返し
     海面に写した記念写真
     
     春魚
     春波
     飛び跳ねて
     
     舞台を
     海面に
     春朗の舞い




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by dreaming_star | 2004-03-19 00:23 | 詩の目次1-100
詩 『 ありがとうしか言えない苦情係 』

       僕は以前
       苦情係をしていたことが
       あるんだけれども
       その時は
       本当に辛かったよ
       
       どんなに罵声を浴びせらても
       どんなに馬鹿呼ばわりされても
       お客様には
       絶対に歯向かっちゃいけない
       だから僕は
       謝ることしか出来なかったんだ
       
       電話だから
       顔は見えないだろうと
       またかよって
       少しうんざりした顔で
       応対していたらね
       話しているうちに
       今まで穏やかだった
       電話越しのお客様の声が
       だんだん変わっていってね
       終いには
       怒鳴り声になってね
       気を静めるのに
       苦労したことがあったよ
       
       僕の横柄な態度が
       電話越しに伝わったんだろうね
       それから
       僕は電話をするときは
       椅子の上でも正座して
       応対するようになったのさ
       
       ある時ね
       いつものように
       苦情の電話を受けていていたんだ
       それが
       1時間経っても2時間経っても
       電話の声の主は喋り続け
       ちっとも切ろうとしない
       
       僕は時々
       「お客様のおっしゃるのはごもっともです。」
       などと相槌を打ちながら
       聞いていんだけれど
       そのうちに
       言葉が出てこなくなったんだ
       「はい」って言おうとしても
       声が喉に引っかかって出てこない
       
       きっとこころが
       耐えきれなくなったんだろうね
       それでも
       僕は声を振り絞って
       しわがれた声で言ったのさ
       
       「ありがとうございます」って
       
       自分でもどうしてそんな言葉が
       出てきたのか分からないけれど
       僕は声にならない声で
       何度も何度も繰り返したのさ
       「ありがとうございます」ってね
       
       するとね
       電話の声の主が黙り込んだのさ
       急に黙るもんだから
       切れちゃったのかと思ったよ
       でも電話は切れていなかったんだ
       だって微かに
       しゃくりあげる声が聞こえてきたからね
       
       電話の声の主は泣いていたのさ
       どうして急に泣き出したのか分からないから
       僕は「どうしたのですか?」と聞きたいのに
       「ありがとうございます」と言ったのさ
       だって「ありがとうございます」しか
       言えないのだから
       繰り返すしかなかったのさ
       
       沈黙の時が続いた後
       電話の主がひとこと言ったんだ
       
       「ごめんなさい」と
       
       僕は「ありがとうございます」って答えようすると
       あっという間に電話は切れてしまったのさ
       
       「ありがとうございます」
       としか言わなかったのに
       苦情係が逆に誤られちゃった
       ちょっぴりほろりとした
       僕が苦情係だった頃のお話
       
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by dreaming_star | 2004-03-17 21:47 | 詩の目次1-100
詩 『 蝶々 』
  

       蝶は飛び 舞うと歌われ
       蛾は飛び 去れと言われ
       同じ鱗翅目の仲間だと言うのに
       なぜ蛾だけが嫌われるのだろう
       
       蝶は昼間 蛾は夜
       そう決めたのは誰だろう
       朝や夕方 薄暗い時間に飛ぶ蝶もいれば
       昼行性の蛾だっていると言うのに
       
       蝶はこん棒状の触覚を持ち
       色鮮やかな羽をたたんでとまる
       蛾はくし状か尖った触角で
       くすんだ保護色の羽を広げてとまる
       
       羽の鮮やかさ華やかさだけで
       蝶は蛾よりも勝っている訳ではなく
       多少 形は違えど
       長い触覚 胴 羽を持つ
       元は同じ鱗翅目の仲間
       
       蝶と蛾
       本当は区別できないほどに
       似ている仲間だと言うのに
       区別するのは
       その容姿にとらわれいるからだろう
       
       蝶と蛾
       区別するものは
       容姿よりもその名
       ならば
       同じ名にしてしまえばいい
       
       蝶と蛾
       同じ空を舞う
       同じ鱗翅目の仲間
       これからは同じ
       蝶々と
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by dreaming_star | 2004-03-16 22:36 | 詩の目次1-100
詩 『 休刊日 』

       出かけのポスト
       取り出すはずの朝刊
       空のポストに思い出す休刊日
       いつもあるはずのない寂しさ
       いつもあるもののない寂しさ
       
       朝のラッシュ
       四つ折りにした紙面
       鳥インフルエンザがどうとか
       円安で株値がどうとか
       活字の斜め読み
       後はポィとくずかご行き
       
       それなのにそれなのに
       僕の習慣その朝刊
       ないと手持ちぶさた
       落ち着かない手に文庫本
       目は活字の上通り過ぎ
       移り行くのは車窓の景色
       
       海面に敷かれた朝日の絨毯
       目薬を指すようにかざす
       朝刊を持たない手を
       行き場を失った手が掴む
       空を刹那く
       休刊日の朝の空を
       
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by dreaming_star | 2004-03-15 23:25 | 詩の目次1-100