詩 『 かすれ声 』
詩集 かすれ声
       天高く澄み切る夜空に冴え渡る月影
       ようやく夜長を楽しめるころとなったというのに
       ぼくの夜長に付き合ってくれる人は誰もいない
       今夜も眠れそうにないから
       ぼくは影を連れて散歩に出かける
       影はとぼとぼとぼくの跡をつけては来るが
       その距離を縮めようとしないので
       かすれ声しか出せなくなった
       ぼくの話し相手にはなりそうもない
       草葉の陰でコオロギが鳴いている
       今夜も月がきれいだね
       そうコオロギに声をかけてみるが
       唐突にそんなことを言っても
       コオロギは答えてくれるはずもなく
       よよよと言ったっきり押し黙る
       いたずらな雲が流れ月影を霞に隠す
       それもまた風情そう声に出してはみるが
       今のぼくの声はかすれ過ぎて月影にも届かない
       
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by dreaming_star | 2004-09-01 23:04 |
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