詩 『 盆提灯 』
詩集 盆提灯
       盆提灯なんて知らなかった頃
       ぼくはお祭りの日に
       提灯を吊るもんだと思っていた
       家紋入りの提灯が軒先に吊られ
       明かりが灯されると
       今晩どこかでお祭りがあるんだな
       そう思いながら
       ぼくは盆提灯の吊られる縁側で
       うちわをパタパタさせていた
       
       母親に連れられて訪問した親戚宅
       回転灯が飾られているのを見ては
       ぼくの家よりも裕福なんだなと思っていた
       こんなに綺麗な提灯だったら
       毎日見ていたいな
       そう思いながら
       花や鳥、山水の綺麗な絵柄が
       赤や黄、緑色に変わる回転灯を見ていた
       
       いま、ぼくの家の軒先には
       家紋入りの提灯が吊るされ
       仏間には回転灯が灯っている
       提灯の灯りが蝋燭から豆電球に替わり
       あのとき見た絵柄とは違う回転灯が
       色とりどりの灯りを灯し回っている
       あの頃のぼくが持ち得なかった
       弔いという感情を回して
       
[PR]
by dreaming_star | 2004-08-13 21:58 |
<< のらねこ物語107 『 りゅう... 盆提灯 >>