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詩 『 かさぶた 』

       ぼくは知らなさ過ぎた
       あなたのことを知らなさ過ぎた
       ぼくは
       あなたのことも
       あなたの言葉の意味も
       なにも
       なにも知りもせず
       触れてはいけぬこころに触れ
       あなたのこころのかさぶたを
       剥ぎ取ってしまった
       あなたのこころの傷口は開き
       こころに溜まった膿が
       吹き出してくる
       傷口を拭っても
       いくら抑えても
       吹き出す膿は止まらない
       あなたは平気そうな顔で
       「大丈夫よ」と言う
       オロオロしているのはぼくばかり
       けれど
       ぼくが
       あなたのこころに触れさえしなければ
       あなたは膿を出さずに済んだはず
       「ごめんなさい、ごめんなさい
        剥がれたかさぶたの代わりに
        ぼくの手があなたのかさぶたになるよ」
       ぼくはそうこころの中で囁きながら
       傷口をそっと摩る
       あなたのこころの傷が癒えるころ
       あなたのことをぼくは
       よく知っているだろうから
by dreaming_star | 2004-08-02 21:58 |
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