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詩 『 夜の海岸線 』

       夜の海岸線を
       心地よい風が駆け抜ける
       こんな日は
       大抵辺りには
       ちらちらと
       人影が見え隠れするものだが
       今日の海岸線には
       人気はなく
       シーンと静まりかえり
       夜空を映す海の鏡だけが
       そこにある
       
       ザッブーン ザッブーン
       さざなみが
       砂辺に打ち上げ引き返す
       この海岸線には
       だれもいないかのように
       ここまで歩いてきた
       ぼくの証拠さえも
       消し去って行く
       さざなみに消された足跡を
       ぼくは新たな場所に付ける
       さざなみは
       ぼくの後をつけて来ては
       ひとつひとつ
       足跡を浚って行く
       
       ふと気付くと
       海岸の端まで来ている
       意外に狭いのだなと思いながらも
       目に留める時計の針は
       海岸線を歩き始めてから
       ちょうど一時間後を指している
       
       夜の海岸線は
       時が止まったように
       シーンと静まりかえっている
       だが
       着実に
       さざなみは
       足跡を消し去った分だけ
       ぼくのこころを軽くしている
by dreaming_star | 2004-06-30 21:50 |
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