詩 『 再会 』
a0001563_21211.jpg
       小さな耳をピンと立て
       くりくりの目をして
       そーっと
       きみは
       こっちを見ている


       
       「みゅうちゃーん」
       そう声をかけ
       少し大げさに手を振ると
       あれ?誰だっけな?
       きみは少し考える風に小首を傾げ
       一歩
       ぼくの方に近づいて来る
       
       「みゅうちゃん、覚えてる?ぼくだよ」
       屋根の上にいるきみが
       よく見えるように
       ぼくは何度もジャンプをしながら
       大きく手を振って見せると
       きみは
       そーっ そーっと
       ぼくの方へやって来る
       
       「危ないから、来ちゃダメだよ」
       そう言っても
       好奇心旺盛なきみは
       屋根の上をずりずり滑って
       どうしよう
       という顔をぼくに向けては
       また小さな足を一歩
       慎重に前に出し
       屋根の端っこまでやって来る
       
       「みゅうちゃん、よくここまで来れたね」
       ぼくは屋根のすぐ下まで駆け寄り
       ぐいーっと首を伸ばし
       きみを見上げてそう言うと
       小さな前足を屋根の端っこにかけ
       きょとんとした目できみはぼくを見下ろす
       
       ひとつ向こうの屋根に
       カラスが止まりカァーと鳴く
       「さぁ、もうお帰り
        きみがいかに勇敢でも
        きみの小さな牙と爪じゃ
        あの鋭いくちばしと爪のカラスには
        到底勝てっこない
        カラスがきみを見つける前に
        早くお帰り
        きみを守ってくれるお母さんの
        温かい懐に早くお帰り」
       
       目の隅に映る
       傾いた夕日がとても眩しい
       目を瞑ると
       よろよろと
       きみが夕日の中を歩いている
       きみはまだ
       ぼくが誰だか分からないという顔をして
       ときどき振り返りながら
       夕日の中へ消えて行く
       
       
[PR]
by dreaming_star | 2004-06-28 21:03 |
<< Jerryちゃんがしゃべった。... のらねこ物語60 『 まちがい... >>