詩 『 アジサイ 』

       「あじさい寺」と呼ばれるこの寺の
       アジサイの花が咲き始めたのは
       先月の中頃だっただろうか
       すーっと伸びた茎には
       緑色をした葉ばかりが目立ち
       その先端には
       どっしりと腰を据える
       これまた緑色のものがあるだけで
       花らしきものはひとつも見当らなかった
       「おい、おまえ
        そんな所でなにをしているんだ
        おまえがそこで
        でーんと構えているから
        アジサイの花が咲こうにも咲けないじゃないか」
       ぼくはそう言って
       その先端の緑色のものを
       花に群がる虫のように追い払おうとした
       アジサイの花だとも知らずに
       
       今週になり
       ようやく「あじさい寺」の
       アジサイの花も見頃を迎え
       境内や山の斜面に植えられた
       80種類、3000株のアジサイの花が
       白や薄桃、青紫の色で
       「あじさい寺」に彩りを添える
       入梅したというのに晴れ続き
       この寺に訪れる人は
       みな
       雨傘の替わりに日傘を差す
       アジサイの花も
       少し色褪せて見える
       初夏の日差しに
       目を眩ませているからなのだろうか
       それとも
       あのときぼくが言ったことを
       いまも
       気にかけているからなのだろうか
       
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by dreaming_star | 2004-06-16 21:41 |
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