詩 『 花売り娘 』

            「花はいらんかえ、いらんかえぇ」
            
            幼い娘の花売りの声が聞こえてくる
            甲高く張り上げる声は透き通る空にこだまする
            風は吹き一歩ずつ歩み寄るたび
            花売り娘の声も大きくなってゆく
            艶のある長髪
            肩から羽織るケープ
            摘んだばかりの花をいっぱいに詰めた花かご
            風に揺らしながら
            花売り娘はぼくの下に声を届けにやって来る
            艶のある鈴とした声が
            少しくぐもって聞こえるのは
            蜂蜜色の夕日と
            風のせいばかりではないだろう
            花売り娘は花かごを見つめる
            売れ残る花を花かごから取り出しては
            自らの手で手折った花を地に埋める
            こころに咲いた花
            今日も届かなかった言葉の花
            また新たな花を咲かせるため
            夕日の中へ消えて行く
            声を顰めながらも
            花売りの掛け声だけは忘れずに
            
            「花はいらんかえ、いらんかえぇ」
            
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by dreaming_star | 2004-06-10 22:34 |
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