詩 『 頑固爺さん2 』
詩 『 頑固爺さん 』

       いつものように
       ぼくが
       野良猫を待っていると
       どこで遊んできたのか
       野良猫は
       全身にとげとげを
       いっぱい付けてやって来た
       得意げに
       にゃおーん
       なんて鳴くもんだから
       
       「おまえなぁ
        いっぺん鏡で見てみろよ。
        とげとげのイガ栗坊主みたいだぞ」
       
       ぼくは
       そう言って
       傍に来て寝っ転がる
       野良猫の横腹をぱしっと叩くと
       毛に絡みついたとげとげを
       身を引っ張らないように
       取り除きにかかった
       まるで
       仲間の毛繕いをするお猿みたいだな
       ぼくは自分の姿を想像して
       くすくす笑いながら
       ひとつずつとげとげを抓んでは
       絡みついた毛を抜き取っていった
       
       とげとげが残っていないか確かめるため
       野良猫の全身を撫で廻していると
       ふっと
       野良猫が顔を上げた
       ぼくもその方向を見上げると
       頑固じいさんが
       少し先に立っていた
       また頑固じいさんに
       怖い顔をされるんだろうな
       そう思いながらも
       ぼくは「こんにちは」と言った
       頑固じいさんは
       何も答えなかったが
       にかーっと笑うと
       
       「お前
        可愛がってくれるんなら
        誰でもええんじゃなぁ」
       
       大黒様のような顔をして言った
       頑固じいさんの
       そんな顔を見たのは初めてだ
       ぼくは驚いて
       目を剥きそうになったが
       頑固じいさんの
       その顔をずっと見ていたかったので
       剥きそうな目をぐっと堪え
       なんとか瞬かせる程度に済ませた
       
       あの大黒様のような顔を
       頑固じいさんが
       ぼくに向けてくれるには
       やっぱり
       野良猫になるしかないんだろうな
       ちょっぴり野良猫を羨ましくなり
       ぼくは
       野良猫の腹を撫でながら
       頑固じいさんの後ろ姿を見送った
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by dreaming_star | 2004-06-06 20:21 |
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