詩 『 空 』

       朝日が昇リ始めるころ
       風はぼくの手を取り
       さぁーっと坂道を駆け
       田んぼの畦道に
       名も知らぬ
       花々が咲いているのを
       眩しそうな目をして
       やんわりと吹き上がると
       落書きをして廻る
       綿雲のクレヨンを片手に
       
       急ぎ足の雲たちは
       昨日に突入しそうな勢いで
       シーラカンスを探し
       ちぎれ雲がのんびりとした口調で
       西の方角で見かけたわよ
       人差し指で指しながら
       魅惑の微笑みを浮かべて
       言うもんだから
       律儀にお辞儀なんかして
       一斉に雲たちは西に向かう
       
       薄紅色の
       口紅を引いた夕日が
       好きよと言いたそうにしているが
       つい言いそびれて
       拭う涙の数だけ口紅は色褪せ
       降る雨の冷たさに
       無情に感じてしまうことがあっても
       揺るぎない思いの夕日は
       瑠璃色の空のごとく
       敬い慕い続ける
       
       「エデンの東」が
       今朝ならば
       せめて「ノッティングヒルの恋人」くらいにはと
       手を合わせ
       願わくばと
       平素常々
       巡る想いを
       映像のごとく空は見せて廻る
       
       恐れないで聞いてくれ
       これこそ空の全てだ
       空とぼくは大声を張り上げ
       野々花
       蛍の光
       諸共に
       喜びの歓声を上げ
       録奏して廻る
       
       乎
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by dreaming_star | 2004-06-06 00:48 |
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