詩 『 静流寺 』

       ふかいふかい山の奥
       静流寺という寺がある
       静かに流れる清流の音が
       聞こえることから
       そう名付けられたのだが
       寺の近くには
       滝もなく
       川もなく
       山水の流れる
       細い水道があるだけ
       他に水源らしきものは
       何もない
       
       ふかいふかい山奥にある
       静流寺
       この寺を訪れるものは みな
       言葉を失う
       静かに流れる清流の音は
       ピーンと張る
       弦を弾く琴音のように
       辺り一面を包み込み
       誰もが息を呑み
       声にすることが出来なくなる
       
       訪れたひとたちは みな
       言葉に出来ないその気持ちを
       何か で表現しようとする
       あるひとは カンバスと絵筆で
       あるひとは ノートと鉛筆で
       あるひとは 手に手で
       言葉に出来ない気持ち
       声にならない気持ち
       それらを 何かで
       他の 何かで
       表現しようとする
       
       ふかいふかい山の奥
       静流寺という寺がある
       静かな清流の音に
       訪れたものたちの
       感情を溢れ出させ
       静かな清流となる
       寺 がそこにある
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by dreaming_star | 2004-05-24 00:54 |
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