詩 『 春の蝉 』
       
       真夏の日差しを潜り抜け
       やって来たのはいいけれど
       時折流れる風が
       背中をひんやりと撫で
       背筋をぞくっとさせては
       通り過ぎて行く
       その度に
       立ち止まり振り返りするから
       いっこうにその先に進めない
       人里離れた山奥に
       ものさびしさを感じ
       引き返そうとしたとき
       静まり返る山奥の方から
       蛙の声が聞こえてきた
       蛙の声を辿り
       山奧へ進んでみるが
       蛙の姿は見当たらない
       ここには池や沼地はなく
       多い茂るのは木々ばかり
       蛙などいるはずもないのに
       幹を辿り枝先に蛙を探す
       幹に止まる
       それを見つける
       それは蛙ではなく
       春の蝉
       夏の蝉よりも小振りで
       時雨れるほどには鳴かない
       一匹が鳴き始めると
       それに答えるように
       他の春の蝉も鳴き始める
       春の蝉の鳴き声が
       木漏れ日のように降り注ぐ
       
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by dreaming_star | 2004-04-29 23:49 |
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