詩 『 あなたと鳩 』
a0001563_22633.jpg
「こんにちは。」
消え入りそうな声であいさつすると
あなたは僕の後ろをくるりと廻り
鳩の群れの前にちょこんと座る
       
手にしたパンをひとちぎり
指先で器用にほぐすと
あなたは手のひらを開いて
鳩の群れに右手を差し出す
       
そそそーっと近づく鳩たちは
我先にと手の中のパンをついばむ
鳩もついばみ方を覚えているのだろう
あなたは手のひらも指先も動かさず
膝を抱える腕に顎を乗せ
鳩たちを見守る目に
微笑みを浮かべている
       
       艶のない白髪混じりの髪の毛
       木綿の服
       素足に白い鼻緒の草履
       お世辞にもきれいな格好とは言えない
       
       けれど
       あなたは
       とても眩しかった
       声をかけることが出来ないくらい
       あなたの その手に その姿に
       群れる鳩のように
       僕は魅了されてしまっていた
       
       20年後、いや30年後
       あなたに会うことが出来たなら
       聞いてみたい
       あなたの手 その姿
       あなたという人に
       近づくことが出来ますかと
       
[PR]
by dreaming_star | 2004-04-24 22:07 |
<< 春の散歩道6 『 雲1 』 拾いもの。 >>