詩 『 待ち合わせの時間 』

       高く積まれた書類の中
       毎日ぼくは雑用に追われている
       ふと気付くと
       その日も定時を過ぎていた
       鳴ったはずのチャイムにも気付かず
       ゆうに二、三時間も過ぎていた
       ブラインドに閉ざされた窓に射す光もなく
       切れた暖房の送風口らは
       冷たい風が吹き始めていた
       時計を見ると21時を回っている
       カレンダーの赤い丸印
       もう一度時計に目をやる
       きみとの約束の日
       待ち合わせの時間
       ようやく
       ぼくは遅れたことに気付く
       
       「ごめん、遅くなってごめん」
       ぼくがそう謝ると
       ふっと笑って
       「わたしもちょうど今来たところなの、
        遅くれたのはお互い様。
        だからね、
        あなたは謝ることなんかないのよ。」
       きみはそう言ってぼくを慰めてくれた
       
       手を握ると
       手袋をしてないきみの手は
       氷のように冷たかった
       抱きしめると
       コートの上からも
       きみの身体が寒さで震えていた
       確かめるように
       見つめた瞳
       ぼくの顔にかかる
       きみの息は冷たかった
       
       待ち合わせの時間よりも
       ずいぶん早くにここに来て
       ひとり寂しく待っている
       きみの姿が目に浮かぶ
       
       「ごめん、遅くなってごめん」
       ぼくはきみを抱きしめる手に力を込め
       繰り返しそう言った

詩集 待ち合わせの時間
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by dreaming_star | 2004-12-26 21:09 |
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