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詩 『 庭の大亀 』

       ぼくのうちにある庭
       ぼくはこの庭でずっと遊んできた
       
       庭の中央にある
       岩石を横たわおらせる一本橋
       その両脇を囲む
       砂利を敷き詰めた池
       枯山水を思わせるその池には
       大亀の形をした石がある
       
       幼い記憶が蘇る
       寒風の吹く
       まだ暑い夕日の輝く頃
       庭木に水やりをすると
       庭木がふっと笑い
       落葉樹が葉を舞わせ
       大亀は
       池の中に潜ろうとしていた
       
       ぼくは
       大亀の背に飛び乗った
       竜宮城に行こうとした
       あのとき
       ぼくは本当に
       竜宮城に行けると信じていた
       
       あの日のことが懐かしく思える
       今日も庭の落葉樹が
       彩りを増した葉を風に舞わせている
       大亀も楔色の苔を生やしながらも
       砂利道の池を泳ぎ回っている
      詩集 庭の大亀
by dreaming_star | 2004-12-16 22:42 |
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