詩 『 編物のレッスン 』

       まだ幼い少女が
       編物をしている
       二本の棒針を操る手はおぼつかなく
       ひと目編むごとに
       棒針を支える人差し指を放し
       少女は
       その指先で
       編み目を確かめている
       
       その側で
       母親も編物をしている
       その手先は
       軽快なリズムで鍵盤に
       指を滑らせるピアノ演奏者のように
       母親は
       毛糸の間に
       棒針を支える指を滑らせている
       
       母親は少女の指先に目を向け
       「そこはね、こうするのよ」
       少女を背後から抱く格好になり
       少女の手を取り
       少女の頭に顎を乗せ
       母親は手ほどきをする
       
       口では説明出来ないことを
       母親は
       少女の手を取り
       教えようとしている
       
       温かな毛糸の感触と
       編物のレッスンを通して
       ものを作る楽しみと
       完成した時の喜び
       そして、
       人と触れあうぬくもりを
       母親は少女に
       教えようとしている
詩集 編物のレッスン
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by dreaming_star | 2004-11-30 23:27 |
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