詩 『 謝罪する海 』
       ごめんなさい
       ごめんなさい
       
       砂辺を歩くぼくに
       海は潮風に声を乗せ
       波風吹かせながら
       頭を下げて謝っている
       
       なぜ? どうして?
       なんで謝るの?
       
       浜辺を歩きながら
       ぼくはとんと見当もつかない
       海の声に問いかける
       
       きみはぼくに
       何も悪いことはしていない
       きみはぼくに
       何も謝ることはない
       なのに
       謝るのはどうしてなんだい?
       
       荒たげる海面は
       なだらかな平面となり
       小さな声でささやく
       さざなみとなり
       海は小声で話し始めた
       
       私がまだ若かった頃
       この世は全て
       支配出来ると思っていました
       私が少し勢力を奮えば
       どんなものでも
       手に入れることが出来ると思っていました
              
       ちょうどその頃です
       私があなたと出会ったのは   
       当時、あなたは子供でした
       小学生なるかならないか
       その位の年齢だったと思います
       あなたは一生懸命砂を掬い
       砂の城を築いていました
       そんな光景を見て
       私は
       あなたの作るお城を飲み込んでしまいたい
       そんな衝動にかられてしました

       自意識過剰だったのです
       今思えば
       愚行この上ない行為だったと思います
       あの頃の私は何だって出来る
       私は神にでもなった気持ちでいたのかも知れません
       あなたが砂辺で作るお城を
       ザッブン、ザブーン
       丹精込めて作ったお城を
       一瞬のうちに飲み込んで壊してしまいました
       それでもあなたは
       またお城を作り始めました
       ザッブン、ザブーン
       あなたがお城を築く度
       その度に私はあなたのお城を壊します
       それでもまた
       あなたはお城を作り始めます
       
       そのとき
       私は気付いたのです
       私が幾ら砂の城を壊したって
       あなたは何度も砂の城を築くだろうと
       あなたは
       こころの中に夢のお城を築いていて
       それを現実にしようと
       砂のお城を築いているんだと
       私は気付いたのです
       
       私はあなたに教えられました
       そのあなたに一言の謝罪もなく
       私はあなたの前から消えていなくなりました
       そのときのことを私は謝りたいのです
       夜毎さざなみを立てているのは
       あなたを待ち
       そのときのことを誤りたいからなのです
詩集 謝罪する海
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by dreaming_star | 2004-11-19 23:14 |
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