詩 『 風邪の初期症状 』

       ちょうど胸の真ん中辺り
       そこにばかり寒風が吹き
       氷嚢を抱いたときのように
       だんだんと
       冷たくなっていくのが分かる
       
       少しでも温まればと
       胸に両手をあてがい
       その表面を交差させるが
       氷室となってしまった胸の辺りは
       少しも温まらない
       
       コホンコホン・・・
       一つ目の堰が
       二つ目、三つ目の堰を誘発する
       摩る手のひらのぬくもりさえも
       胸の疼きは治まらない
       
       風邪の初期症状は
       恋煩いに似ている
       と誰が言う
       
       いや
       ぼくのは
       ただの風邪だ
       
       ぼくは
       胸を摩り堰をしながら
       胸の真ん中辺りが温まるのを待つ
       いまは風邪薬が
       一番の頼みだ
詩集 風邪の初期症状
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by dreaming_star | 2004-11-03 22:55 |
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