詩 『 きもちは新鮮 』

       きもちは新鮮
       きもちは生きている
       すぐに届けなければ
       きもちは死んでしまう
       
       だからね
       ぼくは
       いま届けられないきもちを
       真空パックに詰め込んで
       冷凍保存したのさ
       いま届けられないから
       冷凍庫でカチカチに凍らせれば
       新鮮なきもちは
       たちまち固まって
       そのままのかたちで残るだろうと
       
       だけどね
       冷凍されたきもちは
       死んでしまったのさ
       冷凍したときじゃないよ
       冷凍庫から取り出して
       解凍しているとき
       電子レンジでチン
       解凍してたらね
       あんなにふっくらとしてたきもちが
       空気の抜けた風船みたいに
       しわしわに萎んじゃって
       萎れた花みたいに
       カラカラに乾いちゃって
       ぎゅっと握った手のなかで
       粉々になって
       死んでしまったのさ
       
       真空パックしても
       冷凍保存しても
       レンジでチンしても
       きもちは
       いまの
       そのままの
       きもちじゃなくなるんだ
       
       きもちは新鮮
       きもちは生きている
       いま届けなければ
       きもちは死んでしまう
       
詩集 きもちは新鮮
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by dreaming_star | 2004-09-30 21:48 |
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