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詩 『 無言 』


       海の冷たい潮風に吹かれたいときがある
       静かなさざなみだけを聞いて
       時の流れるままに潮の流れるさまに
       沈む夕日を見つめていたいとき
       そんな時は大抵何も話したくない
       口を開くと傷つけてしまいそうで
       周りにあるもの壊してしまいそうで
       鉛筆であったり、花であったり
       ときに絵画であったり、人であったり
       
       夜空の星を見続けていたいときがある
       星の輝きだけを瞳に映して
       夜が明けるまで流れる星を見つめて
       闇夜の空を見つめていたいとき
       そんな時は大概何も見えていない
       灯す明かりが影を落としそうで
       照らす角度がゼロ以下になりそうで
       ノートの端に、花瓶の下に
       ときに額縁の裏に、人影として
       
       聞こえるのは耳に押し当てた貝殻の音
       押し止める力を失ってしまった形は
       忘れられた灯台が
       二度と光らぬように
       防波堤に誰も知られず
       静かに砕け飲み込まれる波のように
       海の奥底に沈んでゆく
       ゆっくり ゆっくり
       声にならない言葉も
       心の奥底に沈んでゆく
       ふかく ふかく
by dreaming_star | 2004-03-29 05:45 | 詩の目次1-100
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