詩 『 風が吹く 』

       感情の嵐が吹き荒れていた頃
       窓辺から見るコスモス畑には吹く風はなかった
       例え風は吹いていたとしても
       その風は感情の嵐の中にいるぼくには吹かなかった
       
       吹き止まぬ嵐はない
       感情の嵐も次第に勢力を失いぼくのこころを過ぎ去って行った
       見上げた空は嵐の跡形もなく秋晴れの青空が広がっていた
       どっかりと胡座をかく白い雲を風が重そうに後押ししていた
       
       風の子どもたちがコスモス畑にやって来た
       ぼくは子どもの頃したようにコスモス畑に身を埋め風の声を聴いた
       コスモスたちは薄っすらと桃色に頬染めて顔を揺らし
       風の子どもたちは口笛を吹きながらコスモス畑を駆け抜けて行った
       
       また風が吹いてきて別の風の子どもたちがやって来た
       ぼくはコスモス畑からひょっこりと顔を出し
       風の子どもたちに口笛の吹き方を教わった
       ようやく口笛が吹けるようになった頃
       ぼくは大切なことを忘れていたことに気付いた
       詩集 風が吹く
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by dreaming_star | 2004-09-26 22:22 |
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