詩 『 胸の詰まる青 』

       いつの頃からか
       差し伸べる手に
       握り返す力が
       なくなったことには
       薄々気付いていた
       だが
       こうぴしゃりと
       払い除けられると
       否が応でも
       現実を思い知らされる
       
       投げられた鍵を
       何度も取り落とし
       チャリンと
       音がする度に
       拾ってきたドアの鍵
       どこで取り損ねたのか
       どこで音を聞いたのか
       チャリンと鳴る
       鍵の音を聞いたような気はするが
       それが
       どこだったのか
       それが
       今日だったのか
       昨日だったのかも
       思い出せない
       
       こんな日に
       見上げる空は
       パブロ・ピカソの
       『青の時代』の青
       それも決まって
       『盲人の食事』の
       混沌とした
       あの
       深い青
       
       不遇の環境に置かれ
       明日への希望すらも持てない部屋に
       盲人を照らす明かりはない
       けれど
       こころの灯火を燃やし続け
       懸命に生きようとする盲人の姿に
       胸の詰まる青を見た
       その深い色調の
       青い空が広がる

詩集 胸の詰まる青
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by dreaming_star | 2004-09-23 21:36 |
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