詩 『 子猫を抱く少女 』
詩集 子猫を抱く少女
       子猫を抱いた少女が
       公園のベンチに座っている
       
       伏せ目がちに
       物言いたげな唇をして
       垂らした両腕に力はなく
       右手で掴んだ左手首が
       辛うじて子猫を抱き止めている
       
       組み交わした両足は
       無造作に投げ出され
       足下には
       赤いランドセルが転がっている
       
       今日学校で
       嫌なことでもあったのだろうか
       家に帰りたくない
       理由でもあるのだろうか
       
       子猫が
       少女の腕の中で
       小さく伸びをして
       虚ろな目を
       少女に一瞬向けると
       また深い眠りに就く
       
       少女は
       腕を擽る柔らかな毛に
       ふっと口元を弛ませ
       子猫の頭を
       そっと撫でると
       また伏せ目がちに
       足下の先を見つめる
       
       子猫は
       少女の腕の中で
       やすらぎに包まれて眠り
       少女は
       身を委ねる子猫のぬくもりに
       冷たくなったこころを温める
       
       いまの少女には
       どんな言葉よりも
       子猫のぬくもりが
       一番温かいのだろう
       
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by dreaming_star | 2004-09-21 23:29 |
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