詩 『 十秒間の沈黙 』
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     「やぁ!」
     そう言って
     ぼくはきみから
     少し離れた場所に腰掛ける
     少しきみをビックリさせてしまったようだ
     きみはちょっとばかり後退りすると
     近くにある細い溝の中に隠れてしまう
     けれどきみは
     顔だけはしっかり覗かせていて
     興味あり気な目をして
     じーっとぼくの方を見ている
     
     初対面のきみに
     こんなあいさつはないなと思いながらも
     ぼくは
     はじめましてとか
     自己紹介とか
     するつもりは毛頭ない
     
     ぼくは思うんだ
     初めて会うときは誰でも照れる
     照れると何も言えなくなってしまう
     お互い見つめあうばかりで
     このまま永遠に
     沈黙のときが続くんじゃないかと
     気が遠くなるよな沈黙を恐れて
     みんな
     はじめましてとか言って
     話すきっかけを作り
     自己紹介をして
     自分がどんなやつかを
     相手に分からせようとするんじゃないかと
     
     でもぼくは
     そんなことはしない
     きみを笑わせたり
     うれしがらせたりして
     きみの興味を引こうとも思わない
     
     ぼくは今日
     きみとここで出会った
     そのきみと
     ぼくは友だちになろうと思った
     友だちになりたい気持ちに
     理由なんてない
     きみがどこの誰で
     どうしてここにいるのかなんて
     ぼくは全然知ろうとは思わない
     友だちになりたい
     その気持ちに理由なんてないように
     ぼくは黙って
     まっすぐに見つめるきみの瞳に答える
     
     十秒間の沈黙に
     目を反らさずにいられること
     ぼくが友だちになれると
     確信する時間の長さなのだ
     
詩集 十秒間の沈黙
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by dreaming_star | 2004-09-18 21:47 |
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